平岡邁ウズベキスタン共和国駐箚日本国特命全権大使スピーチ
(草の根・人間の安全保障無償資金協力の署名式(3月17日))
尊敬するサリフバエフ外務省次官、
尊敬するブラノフ・アラル海救済基金ウズベキスタン事務所長
ご列席の皆様、
日本国民を代表し、本日、草の根・人間の安全保障無償資金協力案件「アラル海植林のための農業機材整備計画」の贈与契約(総額:66,344米ドル)を署名することができますことを心からお祝い申し上げます。本日の署名式は、まさにウズベキスタンと日本との友好関係の象徴です。
日本政府は、ウズベキスタン国民の社会環境及び福祉の向上を目的として、1995年よりウズベキスタンにおいて教育環境、医療環境の改善及び女性の社会的地位の向上等を目指す草の根・人間の安全保障無償資金協力を開始し、この13年間で合計261件、約15百万米ドルの協力を実施しております。
2006年6月、東京に於いて「中央アジア+日本」対話第2回外相会議が開催され、「中央アジア+日本」対話の行動計画が採択されました。中央アジア諸国は、この行動計画の中で、国境を越える環境問題への対処のため相互の協力を強化していく決意を表明しております。また、日本は、この行動計画の中で、テロ・麻薬対策、貧困削減、保健医療の他、環境保護、特にアラル海の環境問題に対処するための支援を実施していくことを表明しております。そして、本日、草の根・人間の安全保障無償資金協力案件「アラル海植林のための農業機材整備計画」の贈与契約に署名することができますことは、この「中央アジア+日本」対話による成果の1つであり、とても喜ばしいことであると思います。
アラル海の環境問題は、アラル海の縮小、海水量の減少による希少魚介類の絶滅と、沿岸地域における漁業の壊滅等の直接的な被害のみにとどまらず、干上がった湖底地帯の砂漠化によって生じる砂塵被害の頻発と、周辺地帯への塩害、そしてそれらに起因する地方農業の衰退や地域住民への健康被害等の多様な被害をもたらしています。
こうした中で、中央アジア5カ国政府のイニシアティブにより設立されたアラル海での環境問題等に取り組む国際機関であるアラル海救済基金のウズベキスタン事務所に対して、砂漠化進行を抑制するとともに、地域住民の健康、生活及び農業等に有害な影響を及ぼす砂嵐・砂塵の発生防止を図るため、防砂林用の苗木栽培及び植林作業のために使用する農業機材を草の根・人間の安全保障無償資金協力により供与することに決定しました。
本年は、カリモフ大統領によって「地方の開発と向上の年」とされましたが、本件草の根・人間の安全保障無償資金協力案件により、アラル海周辺地域における塩害や砂塵発生を軽減し、畜産業や農業等の経済活動の活性化させることにより、周辺地域の開発と向上、そして住民の皆様が健康で幸せな人生を送られますことを、並びに、各地方の開発と向上が促進され、ウズベキスタン国がさらに発展し繁栄していくことを心から念願しております。
日本とウズベキスタンとの友好関係がさらに強化されることを、そして本日署名を行いました案件の他、我が国が実施した草の根・人間の安全保障無償資金協力が日・ウズベキスタンならびにその国民の友好・親善関係のさらなる架け橋となることを心から祈念しております。
ありがとうございます!
平岡邁ウズベキスタン共和国駐箚日本国特命全権大使
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