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平岡邁ウズベキスタン共和国駐箚日本国特命全権大使スピーチ
(草の根文化無償資金協力署名式(3月13日))

 

 

尊敬するサリホフ・ウズベキスタン科学アカデミー総裁、
尊敬するピダエフ・ウズベキスタン科学アカデミー考古学研究所長、
尊敬するパオリニUNESCOウズベキスタン事務所長、
ご列席の皆様、

 

日本国民を代表し、本日、草の根文化無償資金協力案件「ウズベキスタン科学アカデミー考古学研究所文化遺産保存機材整備計画」の贈与契約(総額:51,046米ドル)を署名できますことを心からお祝い申し上げます。

 

皆様がよくご存じのとおり、日本と中央アジアの繋がりは千年以上も前に遡ります。日本が取り入れた文明の相当部分は中国の西に広がる「西域」、即ち現在の中央アジアを中心とする「シルクロード」を通じて、伝来しました。世界遺産に登録される古都の奈良の法隆寺や東大寺、正倉院には「シルクロード」によって結びついたさまざまな文明の影響が色濃く見られますし、「シルクロード」を通じ伝来した宝物も数多く所蔵されております。日本の仏教もまた「シルクロード」を通じインドより中央アジア、中国そして日本へと伝わりました。

 

このように、我が国と中央アジアは「シルクロード」を通じた歴史的、文化的紐帯を共有しており、1997年に我が国が中央アジア諸国との関係強化を目指し、中央アジアに対する政策を策定した際も、それは「シルクロード外交」と呼ばれました。

 

このような観点から、我が国はユネスコとも協力しつつ中央アジア地域における文化遺産国際協力に力を注いできております。ウズベキスタンにおいては、これまで文化無償資金協力により「ヒヴァ、ブハラ、シャフリサーブス、サマルカンドその他の地域における文化遺産保存機材整備計画」(約1,400,000米ドル)を実施した他、我が国が設立したユネスコ文化遺産保存日本信託基金によるファヤズ・テパ遺跡保存事業(約740,000米ドル)、ユネスコ無形遺産保護日本信託基金による「サマルカンドブルー保存プロジェクト」(94,000米ドル)、「サマルカンドブルー保存フォローアップ」(197,320米ドル)、「ボイスン地域の文化的空間」(152,000米ドル)及び「中央アジアの伝統的音楽、シャシュマカーム」(218,460米ドル)を支援しております。

 

政府のみならず、民間においてもテルメズ近郊のカラ・テパ遺跡、ダルベルジン・テパ遺跡、カンピール・テパ遺跡などにおいて、日本の考古学調査団とウズベク研究者との共同調査が行われていることはご存知のとおりです。また、昨年には日本の東京文化財研究所が中心になって、中央アジア各国の文化遺産保護専門家による国際シンポジウムをタシケントで開催されるなど、地域協力の発展にも貢献しています。

 

さて、ウズベキスタン共和国科学アカデミー考古学研究所は、現在も旧ソ連時代の機材等を使用されておりますが、文化遺産の研究、修復、保存の質をさらに高めるためには、ユネスコ・ウズベキスタン事務所よりも提言のあった通り、新しい機材等を整備することが緊急の課題となっております。そこで、我が国は、ウズベキスタン共和国科学アカデミー考古学研究所の文化財保存用の試薬、機材整備及び展示ケース等を支援することを決定致しました。

 

私は、この支援により、ウズベキスタン全国から出土する文化遺産の修復、保存、研究が促進されることを期待します。また、ウズベキスタン科学アカデミー考古学研究所は、日本の東京文化財研究所、創価大学や国際日本文化研究センター等と学術交流、共同研究等を実施されておりますが、こうした交流がさらに促進され、ウズベキスタンや中央アジアにおける文化遺産の修復、保存や研究に大きく貢献することを心から念願するものであります。

 

我が国は「中央アジア+日本」対話発足5周年にあたる本年を「日本・中央アジア交流年」と定め、日本と中央アジア諸国との文化交流・人的交流の促進を図ることとしております。私は、この協力が日本とウズベキスタンとの友好関係をさらに強化すると共に、日・ウズベキスタン両国民の相互理解並びに友好・親善関係のさらなる架け橋となることを心から祈念しております。

 

ありがとうございました!

 

平岡邁ウズベキスタン共和国駐箚日本国特命全権大使

 


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